mont’s diary

非定期更新

フランスのプログラミングスクールがすごかった話

この間、某授業のご褒美でヨーロッパに研修旅行に連れて行ってもらい、ロンドン→パリ→ベルリンと回ってきました。目的はちょっと特殊で、AI分野のスタートアップやそれに関連する施設・団体などを中心に見学しにいくというツアーでした(が、実際は半分くらい観光してました)。正直AIとかスタートアップとか、知識もほとんどないような分野のものを楽しめるのか非常に不安でしたが、それはそれで新鮮でとても刺激になりました。

 

で、見学してきた中でも私的に圧倒的にすごいと思ったのが、フランス・パリにあるÉcole 42というプログラミングスクールです。

こんな感じのところ。

 

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42内の様子。超でかいPCルーム。

 

このプログラミングスクール、伊達じゃないです。

 

最初に書いておきますがこの学校、正式な学校ではないんです。この学校を出たからといって、国から認められた学位(学士とか修士とか)をもらえるわけではないそうです。

 

 

すごいところ1点目。全部無料です。実はこの学校、ザヴィエ・ニエルという、マッチングアプリ(?)*1を作って億万長者になった人が最近作った学校だそうで、その人が資産を投じ、学費を無料にすることによって幅広く優秀な学生を集めているようです。

ちなみに内装はめっちゃ綺麗でした。こんな学校作っておいて学生からお金を取らないなんて、億万長者すごい。。。

 

 

すごいところ2点目。学べる範囲が実に広いです。コンピュータサイエンス全般を学ぶことができるようです。CやJavaなどの言語の基礎はもちろん、Shellの実装からITセキュリティのこと、最近流行りの機械学習ディープラーニングまで、何でも抑えていました。

 

 

すごいところ3点目。これが一番すごいんですが、教育システムがびっくりするほど独特です。超簡単にいうと、ソシャゲのような感覚で学生が学習を進めている感じです。

École 42には、専用の学内サイトがあります。このサイトが本当にゲームみたいです。各学生のスキルはレベルによって数値化されていて、他の人のプロフィールを覗くとその人のスキルレベルがわかります。講座を受講していくとレベルが上がっていく仕組みです。

ちなみにÉcole 42は、学校のPCの前でオンラインの講座(演習中心らしい)を受けさせる形式で教育を行っています。大学みたいに講義を受講させる形式とは根本から異なりますね。

また、École 42には先生がいません。学生が受講した講座の成績は、他の学生が採点するというシステムです。(プログラミングスクールなのに?)学士同士がコミュニケーションを取り、教えあいながら技術を習得していくシステムです。なお、他の学生の採点をすると、学内で使える通貨のようなものが学内サイトで発行されるらしい。

さらにさらに、あふれんばかりの技術力を持った学生は自分で講座を作り上げてしまうそうです。例えば、ITセキュリティの講座なんかは、とある学生が独自に作成し、学内サイトに追加したと聞きました(違ったかも)。スゲェ。

こんな感じで、先生を設置せず、学生同士を刺激させ合いながら学習させるシステムです。文字通り social game といった感じです。

 

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École 42にあったマウスパッド

 

ちなみにこの学校は平均年齢25くらいらしいです。詳しくは聞いてないですが、多分大学を卒業した後にここに学びに来る学生が多いんでしょうか。 

あと、ここを卒業した学生は、ほとんどがスタートアップに就職するか、自分で立ち上げてしまうかするそうです。こういう風潮が良いかどうかはさておき、日本にはないタイプのコミュニティであることは間違いないと思います。

 

 

 

端的にまとめると、

「億万長者が作った、革新的なシステムでコンピュータサイエンス教育を行う専門学校」

です。

ゲーム感覚で人を学習させる教育システムは効率が良いというのは、おそらく割と多くの人が考えていて、それこそ日本ですらこういった類のシステムは身の回りにたくさんあります。けれども、ここまで振り切ったものは本当に初めて見ました。

ただこのシステムは、「プログラミングスクール」というPCにもともと強い人が集う系のコミュニティに特化したシステムであり、他の分野の教育にも同じシステムが適用できるかどうかは微妙でしょう。また日本の風土に合うのかどうかというのもよくわからないので、同じ学校が日本に欲しいかどうかと言われると返答に悩みますが、まあ日本にもこういうシステムがあったらあったで面白そうではあります。いつかこういうのが世界中に広まるんでしょうか。

 

本当はもっとあるんですが面倒になってきたので終わります。万が一気になったらまあ直接聞いてください。

ちなみにパリもベルリンも食べ物美味しかったです。ロンドンは。。。はい。

*1:マッチングアプリじゃなくて通信事業でした。お詫びして訂正します。