mont’s diary

非定期更新

とあるフォントの話

先日、TLに流れてきたフォントセールをみて衝動買いしてしまいました。Futura Roundというフォントです。他のフォントもセットで3000円くらい。めっちゃ安い。普通は桁が1つか2つ多い。

 

このフォントはFuturaというフォントに丸みを持たせたものです。ゴシック体が丸ゴシック体になった感じですね。

f:id:minomonter:20180710095144p:plain元のFuturaも良いフォントではあるものの、角が立っていているせいか主張が少し強いと思います。Helveticaのように雰囲気が滲み出る感じではなく、なんかこう、少し目を惹くというか。もちろんこれはこれで良いんですが、使い所が難しいな〜と常々思っていました。

一方このFutura Roundは絶妙に丸みを帯びているおかげで、Futuraでみられた主張の強さが適度に軽減されている印象を受けます。ただ完全に丸いというわけでもないので、丸ゴシックのようなゆるふわさはそれほど感じさせませんし、汎用性が高そうだなとおもいました。

 

 

 

ちなみにこのオリジナルであるFuturaというフォントは、ドイツのバウハウス*1というところで作られました。たしか戦前だったと思います。最初見たときは、結構新しそうなフォントだな〜という印象を受けたのですが、意外と古くからあると知ったときは驚きました。

さらにちなむと、かの有名なナチスも使っていたそうです。それもあって、過去には「Futuraナチスを連想させるからダメ」という謎の言説を主張する界隈もいたそうです。

まあドイツ発祥ということで、特にドイツの看板とかでは比較的頻繁に使われているみたいですね。あと、有名な企業だとLOUIS VUITTONで使われています。清潔さみたいなのがうまくでていると個人的に思います。

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あと、数字の「7」という字がカッコ良いです。

ちなみに駒場でも某建物の案内表示で使われていたはずです。探してみてください。

 

分類でいうとサンセリフ体というものに分類されます。セリフってのは「うろこ」のことです。

サンセリフ体にもまた色々と種類があるのですが、その中でもFutura幾何学的な形状をしていることで有名です。「幾何学的ってなんだ??」って突っ込まれそうですが、まあ円とか三角形とかのシンプルな形状で構成されているってことですね。そのおかげで、とてもすっきりとしたイメージを与えます。

 

ただ「円とか三角形とかのシンプルな形状で構成されている」と聞くと「作るのは比較的簡単そう」という気もしますが、むしろ制作する上での制約が厳しい分、他のフォントよりも難しいと思います(たぶん)。

例えば"a"という文字を見てみます。

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この字には半径の異なる2つの円が含まれていますが、この円は同心円ではないんですよね。自然に見えるようにあえて中心がずらされています。こんな感じで、自然に見えるよう、あらゆるところに工夫が凝らされています。

あと、実は円も正円ではなく自然に見えるようあえて崩されているのもみてわかると思います。まあ「文字として自然に読める」ことと「幾何学的な形状にみえる」ことを両立させるのは結構難しいんだろうってことですね。

 

 

Futura幾何学形状について一通り語ったところでFutura Roundに話を戻しますが、このFutura RoundはFutura幾何学的な形状による効果をうまく残しつつ丸みを帯びさせている点で結構すごいです。これたぶん、丸みをつけすぎると煩雑になって、Futuraの「スッキリ」感が失われてしまあと思うんですよね。絶妙な丸みです。

オリジナルのFuturaのエッジの効いた感じも好きなんですけどね。このFutura Roundはとっても気に入ったので使っていきたいです。

 

誰かFuturaに合う日本語フォント教えてください><

*1:建築をはじめとしたデザインに関する教育機関。今はもうない。その界隈では今でも有名らしく、この名残が結構あるっぽい。機能美的なものを提唱していたところです。